校長 その日その日
Principal Day by day
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2023/06/02
将棋の藤井聡太さんが、史上最年少で「名人」位を獲得し七冠になったことは、メディアでも大きく取り上げられています。今朝の新聞で、藤井さんの師匠である杉本昌隆さん(八段)のことばが紹介されていました。
「あの日から、この少年の未来を疑ったことは、一度もない」。
杉本さんが、藤井さんを弟子にした当時、藤井さんはまだ10歳。しかし杉本さんはその才能に驚かされ、必ずトップ棋士になると確信していたそうです。
しかし今日まで無敵を誇ったように思える藤井さんですが、師匠の目はとらえていました。藤井さんが大事な勝負で大敗した日、杉本さんは藤井さんの “荒ぶる背中” に「一人の若い青年」をみた、非常に心配な時もあったと述べています。
杉本さんは、どこまでも弟子を信じています。
「(藤井さんは)正解は分かっているだろうに、対局ではさらなる『最善手』を使う」
「藤井名人の指し手は『AI超え』と評されることがある。私はそこに人の無限の可能性を感じるのだ」
杉本さんのおっしゃる通り、AIは理屈上、過去のデータの蓄積の中からしか答えを出しません。しかし藤井さんつまり人間は(たった0.1㎜?の違いに過ぎないとしても)今までになかった、新しい手を指せるのです。
だから人間が人間たる所以なのだろう――杉本さんのことばといい、ちょっと心がほっこりする朝でした。(私は別にAI脅威論者ではありませんが)
「あの日から、この少年の未来を疑ったことは、一度もない」。
杉本さんのことばは、教壇に立つ私たちの、生徒の無限の可能性を信じる基本的態度そのものでありたいと、強く感じました。
参考:6月2日付け朝日新聞朝刊(13版)22面
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