校長 その日その日
Principal Day by day
Principal Day by day
2025/01/17
もう30年なのか――今日1月17日は、阪神淡路大震災発生の日です。
新聞・ニュース等で、30年の節目の特集を見るにつけ、私も思い返しては、被災された方々の痛みをあらためて思い知ります。
本校も3年前・2022(令和4年)の秋、コロナ禍中のため高校生の海外研修の代替として「関西研修」を実施しています。私も引率者として、復興後の神戸の街を初めて歩きました。
→再掲・当コラム2022・10/5「関西研修を終えて」
↓ 当時の写真再掲。神戸港(2022.10.1撮影)
↓ 沈下崩壊した港の岸壁が保存され見学できるようになっています(同上)
―30年前の震災の日、学生の私は大学最後の期末テストの日でした。
燃え盛る街の様子をテレビで知りながらも、何かできる物的・心的状況になく、登校して友人たちと口にし合っては、関西出身の友人を気遣うことぐらいしかできなかったのを思い出します。
被害の甚大さや被災された方々の苦しみを、関東の私が本質的に理解するのは難しいのかもしれません。
それだけに、3年前とはいえ現地を訪問できたことは、私の中で「神戸をあらためて思い出した・今後も忘れない」ことにつながったと思います。
多くの子供たちが日常を、未来を失い、学校の対応も困難を極めたことでしょう。
新聞の特集記事で、当時教え子を失った教師の方のお話が印象的でした。―当時、亡くなった生徒の顔をどうしても見ることができず、今日まで30年経った。しかし今それをとても悔いている―というものです。
先日の中学入試の保護者控室での校長講演でもお話ししたのですが、最近私は、「グローバル人材」の要件の一つに、「人の痛みが分かる者」があると強く考えるようになりました。
人の痛み、過去の自分たちの過ちを知っているから、多様な世界・社会の人と手を携えることができ、建設的な新しい社会を創れる、と考えるからです。
7年度から始まる中高一貫部のNEXT20プロジェクトの一つ・沖縄国際平和研修も、そんな思いに端を発しています。
「愚者は経験から学ぶ、賢者は歴史から学ぶ」(ビスマルク)。私たちは、悲しい経験についてはもう十分過ぎるほど積んでいる。
だから他者の痛みを本質的に理解することは難しくても、せめて思いを致すことはできる。そして歴史を踏まえ、的確に備えることができる。
校訓・愛 知 和の「愛」は利他の心=思いを致すこと、「知」は豊かな知識・知性=的確な判断だ――私が生徒・職員に伝えていることです。
これからも伝え続けていこうと思います。