校長 その日その日
Principal Day by day
Principal Day by day
2023/10/24
「フィリピンのストリートチルドレンに、希望を持たせることは無責任なのか」。
――23日(木)、「高校生の主張コンクール」中央大会(主催:外務省・日本国際連合協会)が都内で開かれました。全国から選出された25名の1人として本校から高2のYさんが出場。自身の考えを述べました。
↓ 会場の国連大学(渋谷区)
Yさんは本校中2のときから、中高一貫部のプレゼン教育において、男女格差や貧困児童の問題について探究を続けてきました。
この日、Yさんは力強く、よどみなく主張しました。
「“かなわない希望を彼らに抱かせることは、無責任だ” という友人と意見が食い違ったことから、私は実際にセブ島に足を運び、ストリートチルドレンの現状をみてきた」
「教師、会社員、歌手……彼らはそれぞれの夢を話してくれた。ある女の子の夢は警察官。この地域に違法薬物を売りに来る悪意の人間から、みんなを救いたいからだ、と」
「でもそれは難しいと思った。警察官は4年制大学を出なければならず、無戸籍の子は大学へ進学できないからだ」「希望を持っても、無戸籍であることがそれを阻む」
「大きな社会問題に対し、自分は無力だ。やはり無責任か」
「帰国後、ボランティアや寄付など『自分が動く』活動をしてみたが、それ以上に大事なのは自分が『人を動かす』ことだと気づいた」
「NPO法人と協力し、私がデザインしたカードを、フィリピンの女の子の収入になるよう製作を依頼し、この10月に商品化されることになった」
「個人の力は小さくても、“何かをしたい”気持ちが一つになれば、社会を良くしていくことができる」
「私の夢は、ジェンダー平等。誰もが自由に暮らせる世の中のために、継続して仕事が提供できるための職業訓練校を立ち上げる組織をつくりたい」
――一夜明けて24日朝。Yさんが校長室を訪問してくれました。
ホッとした表情の一方で「他の参加者は、“自身が(社会課題の)当事者” だったりしたので、私の主張は他人事に聞こえてしまうのでは、と思った」…。
あくまでも謙虚で自分に厳しいYさん。
しかし私は、「当事者の声が強く聞こえるのは当然だけど、それに響くYさんのような人がいるから、課題解決が進むんじゃないかな」、
「実際、Yさんに 心を“動かされた” 私たちがいるじゃない」と答えました。
Yさん、来年は進路を決める年ですが、一連の探究活動を通じて「今まで考えていた進路を考え直すかもしれない」そうです。
それはどんな夢か…。大宮開成はどんな夢であっても、全力で応援しますよ。
決して本校生は、無力などではありません。