校長 その日その日
Principal Day by day
Principal Day by day
2024/11/12
受験勉強がいよいよ佳境の高3生。行事でも部活でも今は接点が少ないだけに、朝の挨拶の際に、彼らと話ができただけで嬉しく感じます。
――Sさん。6月の体育祭では緑団の団長を務め、応援ダンスで周囲を沸かせていました。Kポップアイドルを思わせる髪型・長身の彼が、10月に入って何と丸坊主に。どうしたの!?
「受験なんで気合入れようと思って…あ、周りでも2~3人やろうとしてますよ」
彼を見た担任T教諭が、"俺がやれって言ったみたいだから止めろよ"と困惑し、クラスで大笑いになったとか。
――Tさん。いつも"おはようございます"とにっこり返してくれる彼女はアナウンスがとても上手で、前述の体育祭でも進行放送で活躍していました。
さる朝、彼女が私に近寄るなり
「実はこないだ〇〇の全国大会で入賞しました」
文化系コンペでの成果報告に、おめでとう!受験勉強の合間によく挑戦したね、と称賛すると「じつは進路も決まったんです」と、まさに受賞に関係する芸術系に進むことを教えてくれました。
「校長先生に以前"エンターテイナーだよね”って言われて、励みになって」
―言った本人は忘れていましたが、でも自分の力に気付いたのはあなた自身です。
――Iさん。今夏「化学グランプリ全国大会」でみごと銅賞を獲得。全国の先端高校生が競う大会での入賞です。
彼は本校中学段階から理科に高い関心をもち、校内プレゼン大会でも活躍してきた生徒です。高校でも放課後や夏休み中、有志仲間とともに独自に実験、研究を続けてきた内容が評価されたのでしょう。
↓ 健闘を称えて懸垂幕(右端)を掲示
普段は物静かな彼ですが、発表の際は内面からあふれ出るような語調となり、内に秘めた化学への愛を感じさせます。
――どういったとき、教師は生徒の真の可能性を引き出すことができるのか。
それは教師が、日ごろから生徒の言葉や意思をきちんと受け止め、対話者になることだと思っています。対話を通じて、生徒は自分で答えを見つけていく。教師からの「若干の言葉がけ」が、彼らの背中を押すに過ぎません。
むしろ教師の言葉は、ときに破壊力を帯びる。簡単に可能性を潰します。
だから私たちは自らの言葉を磨き続け、言葉への畏怖を忘れず教壇に立たなければならない…校門を通り過ぎる彼らの背中を見ながら考えました。