校長 その日その日
Principal Day by day
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2024/06/22
昨日まで →(6/22)青丹よし、奈良の夏空
全般の記事 →今週の大宮開成(広報O教諭記事)
<2日目:奈良公園から京都へ>
22日(土)、奈良の奥山は霞みがかるも爽やかな朝を迎えました。予報は日中は晴れ、夕方から雨と。
↓ 山を下り、東大寺など奈良公園の半日研修開始。壮大な南大門が出迎えます
↓ 鎌倉期(13世紀)、重源ちょうげん上人の主導で再建。限られた資材ながら豪壮に見せる「大仏様だいぶつよう」という様式で、屋根裏は意外にシンプル
↓ 門内には参詣者をにらむ金剛力士像(東側:吽形・西側:阿形)。運慶・快慶の代表作。見下ろされたときに迫力を生むよう頭・胴体のバランスが考えられ、本来の人間とは異なる筋肉表現がそれに拍車をかけます
↓ 広大な境内を抜け、目前には現れたのは…
↓ 東大寺大仏殿。源平の合戦(12世紀末)と戦国期(16世紀末)の2度の戦火で焼かれ、現在のは18世紀(江戸期)再建。今なお世界最大の木造建築物ですが、聖武朝の創建時(8世紀)はさらに1.5倍の間口サイズの威容を誇りました
↓ だいぶ気温が上がってきました
↓ 大仏殿の中でガイドさん「この柱は周防国(山口県)から海路で運ばれてきたんだよ」
↓ 春日神社の神の使いである鹿たちは野生。海外の観光客からとにかく人気
↓ 暑さと坂の上にあるのを敬遠されてか、二月堂・三月堂(下)辺りは人影まばら。三月堂は正式には法華堂といい、天平期(8世紀:左半分)と鎌倉期の増築(13世紀:右半分)のハイブリッド仏堂です
↓ 法華堂のそばには、お経を保管したという創建以来の校倉造あぜくらづくりの倉庫が
↓ 断面三角形の木材を組み合わせて巧みに通風を確保。1300年の風雪を耐えた人間の知恵
↓ 東大寺裏手の坂道。古瓦と土を積層した築地塀ついじべいに癒されます。観光客はほぼ皆無
↓ 午後、京都に移動すると曇天に。慌ただしく立ち寄った宇治・平等院もかなりの観光客が
夕刻からあいにくの雨。京都市内は河村能楽堂での能楽鑑賞です。
講師は河村純子さん。「能楽おもしろ講座」を通じて能の教育普及に精力的に取り組まれています。
代表生徒は実際に能舞台に上がり、能特有の所作、鼓・笛などの楽器や本物の衣装に触れさせていただきます。
↓ 足の運び方。「お腹に力を入れて、まっすぐ前を見て…たまに舞台から落ちるのよ」
↓ 着物の色は、演者の身分や年齢を象徴するとのこと。生地(絹)・刺繍にも大変な手間がかかっています
↓ Yさんが般若の面を体験。面はほとんど前が見えない分、演技に集中力を要します。「般若の角は女性の悲しみの象徴。女性に角を生えさせてはダメですよー〇〇先生」と突然のつっこみに一同大笑い、〇〇教諭は苦笑い
↓ 小鼓・大鼓の体験。「(オレンジ色の)紐を握ったり緩めたりで音の高低が変わります」「皮は演奏前・中に湿らせたり炭火であぶったりととても繊細な調整が要るんです」
最後に演目『屋島』のダイジェスト場面を鑑賞、源義経の亡霊の迫力に圧倒されました。
河村さん「能も数百年のうちに変わらないようで少しずつ変わってきた。私自身もコロナ禍、興行面で苦労した分、新しいことに挑戦し、新鮮な自分に出会うことができた」
「英語もその一つ。英語で能を紹介することを始めて、先日もスタンフォード大学の学生に…」
「皆さんは大宮開成で英語やプレゼン教育など本当に恵まれているけど、もっといろいろなことに挑戦していってください」
――このような方々の苦労・苦悩があるから伝統芸能が数百年間、守られてきたのでしょう。
河村さんの熱いメッセージは、間違いなく生徒の胸に刺さったに違いありません。
今年は例年とはまた違う研修成果を生みそうです。