校長 その日その日
Principal Day by day
Principal Day by day
2022/09/11
この夏、海外でのボランティアツアーに参加してきたYさん(高1)に、その様子を少しですが聞かせていただきました。
本校中学の頃から、プレゼンテーションで貧困や男女格差を取り上げ、小学校での講演や、フェアトレード活動にも取り組んできたYさん。
今回彼女は、民間NPOが主催するフィリピン・セブ島でのボランティアツアーに参加してきました。
観光地のイメージが強いセブ島ですが、スラム街の存在など貧困、社会格差が大きな問題となっています。
Yさんは、そのスラムを訪れて現地の子どもたちと触れ合い、また彼らの移住先※である集落にも足を運んだそうです。
※行政の救済対策として、スラムの住民を強制的に郊外に移住させるものだが、課題も多いという
Yさん「参加者は私を入れて4~5名、私以外は大学生でした」「スラム街では、子どもたちがとても人懐っこくて。“このお姉ちゃんは私のもの!” ぐらいの勢い」
「市街地と隔てられて、ゴミの山が隣接。その光景やにおいに衝撃を受けました。ゴミの山から子どもが何やら掘り出している、そんなものもしかして、食べるの!?って」
「(貧困の現実を)“自分はまだまだ知らなかった” と思いました」
「移住先も案内され、昔中国の人たちが利用していて今は使われていない居住区をあてがわれていました」
Yさんは、率直な感想とともに、複雑な心境も口にしました。
「日本人は清潔で健康な生活を送っているけど、“心” はどうなのか。スラムの人々は、健康とか仕事とか大きな問題を抱えてはいるけど、 “心” だけは、日本人よりよほど明るい。“スラム以外の世界を知らなければ” かもしれないけど」
「現地の案内スタッフは、“私たちやこの現状をもっと知ってほしい” と力説していた」
「日本に帰ってきて、“あー、テストだ、勉強しなくちゃ” と日常に戻ってしまう自分って、何だろうと思ってしまった」
しかし最後に力強く、
「(今回のように)誰かに伴われて行くのではなく、もう一度、自分の力で行く」
「そして、“現地に住む” ぐらいの覚悟で、人々に役立つことをしてみたい」
私(校長)こそ、生徒以上に知らないことばかりです。Yさんは秋以降のプレゼンテーションで、引き続きこのテーマを取り上げてくれるそうなので、期待したいところです。
Yさんのような生徒が本校にいることを、本当に心強く誇りに思うとともに、彼らを通じて私自身も世界を、現実を知りたいと、あらためて感じました。