校長 その日その日
Principal Day by day
Principal Day by day
2022/04/14
(令和5年度版はこちら)→(4/11)子供の運命は、つねに…(令和5年度版)
4月から新たに校長に着任した 松﨑 慶喜(よしのぶ)です。山中 克修前校長のあとを引き継ぎ、重責に気が引き締まる思いです。
さて2022年は、本校の原点・大宮洋裁女学校の設立から80年です。
創立者・松﨑庚子良(こうしろう・1900~1976)が本校設立を思い立ったのは、南米ブラジルでの実業(農業技術指導)経験がきっかけです。
現地の女性の社会的自立を目の当たりにした庚子良は、日本でもそれを実現しようと、太平洋戦争が厳しくなる中の1942(昭和17)年に、洋裁=洋服製作技術の教育を始めたのです。
戦後ようやく軌道にのると、女性の教養・人格そのものを高めようと「大宮開成高等学校」(女子校)に発展させ、今日に至ります。
庚子良は、私が物心ついた頃に物故となったのでよく分からない部分もあるのですが、当時から心に刻んでいた言葉があったようです。
それは、「子供の運命は、つねにその母がつくる」。
現代ではもちろん、母だけでなく父もと言うべきですが、当時の価値観からはやむを得ません。
しかし私は、「その母が」を、「その親が」あるいは「大人が」と読み替えて、今なお普遍的な言葉だと思っています。なぜなら、現在のロシア・ウクライナの情勢がそれを如実に物語っているからです。
ウクライナの教育相が先日「子どもの教育継続のために日本の支援を」と語っていました。一刻も早い停戦はもちろん、教育の再開が望まれます。
言うまでもなく教育の空白は、国の未来を失うことです。
満足な教育を受けられない世代・国家が、貧困や紛争の当事者になりがちなことは、いやというほど歴史が語っているからです。
子供の運命、すなわち未来を創るのも、壊すのも大人。何という皮肉でしょうか。
命の心配をせずに学べる日本の私たちにできることは何か。創立者の精神をもっていうならば「大人の過ちを次世代に引き継がないこと」ではないでしょうか。
令和4年度のスタート。国際平和はもちろん、SDGsに象徴される社会課題を、本校生徒が日ごろの授業やプレゼン学習、英会話授業やGVS※で取り組んでくれれば、創立者もきっとどこかで微笑んでいることでしょう。
※GVS…Global Village for Students(留学生とのディスカッション等を行う英語合宿。中3実施)